ハンガリーのコロナ対策とそのもくろみ

コロナウイルスの拡大阻止のための対策は、国家によって様々であるが、独裁的な指導者が次第に勢力を伸ばす中で、非常事態は将来的な権力基盤を固めるための格好の機会ともなっている。移動の自由、言論の自由、売買の自由などが制限されているが、一度そうした事が起これば、既成事実化して、将来的な民主主義の変質に繋がりかねない。(以下はデジタル版のSpiegel 3/ 31の記事)

 

EUにとっての恥

ハンガリーの54歳の右翼国家主義的な首相であるViktor Orbánは、議会から包括的な特別非常権限を認められた。いくら危機とはいえ、これは他のEU諸国の慣例を遥かに超えた権限であり、しかも非常事態の期限が定められていない。

あたかも、ハンガリー国民の福祉が問題であるかのように見えるが、コロナウィルスと戦うには、この権限のどれ一つとして必要なものはない。実際にはOrbánと彼の、権力に対して冷笑的な一味が混乱に乗じて、自分たちの影響力を固めようとしているに過ぎない。

この全権委任法によれば、隔離の法令に違反した場合は、最高8年までの、デマを広めた場合は最高5年までの禁固刑が課される。犯罪構成要件は曖昧に規定されているので、組織に所属していないジャーナリストは、批判的な記事を書いた場合、自由刑に処せられるのではないかと危惧している。

ハンガリーは地理的にはヨーロッパに属してはいるが、政治的にはそうではない。EUのトップはOrbánと真剣に話し合いをして、こうした行為がどのような制裁措置をもたらすことになるのか、明確な戦略を考えるべきである。 Ursula von der Leyenの周辺の上層部はこうしたことに対して、これまで何もしてこなかった。これは軟弱というだけではなく、臆病というものである。

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